令和5年6月26日
宮崎学園短期大学学長 村上 昇
周知のとおり、生成系AI(ジェネレーティブAI)、その中でも対話型AI(ChatGPT, BingAI,Google Bard等)が教育に及ぼす影響が懸念されています。わが国はサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会Society5.0の実現を進めてきました。この対話型AIは、まさにこのSociety5.0実現の強力なツールになると見ることもできます。今回の対話型AIによる文章作成、添削、翻訳、あるいは要約等の機能、表の作成や統計処理/会計処理、簡単なプログラミング、広告・広報作成や経営戦略の作成等々の機能(能力)は目を見張るものがあり、多くの活用が期待できます。
一方で、教員の提示した課題に対するレポート作成、データ解析、あるいは卒業研究の作成にこのAIを学生が利用すれば、(立派なものができるかもしれませんが)思考力、創造力、推理力あるいは作文・表現力等、涵養すべき大事な能力を育てられなくなる可能性も少なからずあると思えます。また、対話型AIによる回答には多くの虚偽があるとの指摘、企業情報や個人情報の漏洩、拡散の可能性の指摘、著作権や法律上の問題、倫理面の問題の指摘等、注意すべき点も多々あるようです。
今後、時代とともにAIはさらに進化し続けることは間違いありません。私たち教職員・学生は、このようなAIとどのように共存し、その中で、学生や教職員が身につけなければならない能力とは何か?またその能力を培うにはどのような教育法が有効かを常に考えていくことが必要です。もちろん、対話型AIをいかに利用できるかの能力、その欠点や利点をどう活用していくかの能力を身につけることも重要と思われます。
学生の皆さんは、よりよい学びのために、柔軟にこの生成系AIを活用してもらいたいと思いますが、以下の点に留意するようお願いします。
①AIが出した情報、答えがすべて正解とは思ってはいけない
②個人情報や機密情報を入力してはいけない
③悪意のある使い方をしてはいけない
④レポートや論文に、生成系AIから得た回答をそのまま使用してはいけない