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コミュニケーションとタッチング・ケアvol.1

~ストレスを遠ざけるための~

コミュニケーションとタッチング・ケア
  1. ストレスを知る
  2. リフレーミングでストレスを遠ざける
  3. コミュニケーションとタッチング・ケアの効果
ごあいさつ

 毎日、仕事や家事・学業などお疲れ様です。今日あなたはどんな気分で目覚めましたか?適度な疲労感で眠りにつけそうですか?自分らしく穏やかに過ごせるよう、ストレスと上手につき合うためのコミュニケーションとタッチング・ケアについて3回に分けお話させていただきます。

まず今回は、ストレスについてです。

1.ストレスを知る

 人間の脳は、目・耳・鼻・口・皮膚などから飛び込んできた多くの情報を基に「快」「不快」の判断をしています。例えば「分かった、嬉しい、安心」などの肯定的感情に結びつく「快」の状況ではゆったりとした神経が優位に作用します。そのいっぽうで、「難しい、痛い、不安」などの否定的感情をもたらす「不快」では、ピリピリした神経が強くはたらき、普段との違いやバランスのズレをストレスとして感じることになります。その結果、血管や筋肉が収縮するなど心身の緊張が生じ、ドキドキ感や手足の冷たさなど身体症状として自覚されます(図1)。生きるうえで、完全にストレスのない生活はありません。ならば、心身状態と密接な関係にあるストレスとのつき合い方を知ることで、少しは気持ちが楽になるかもしれません。

<ストレスがおきるプロセス>

  • 感覚器と認知  ~外から入ってきた情報を集めて脳が判断する
  • 伝達と情緒的反応~筋肉の緊張や血糖値の上昇などと同時に気持ちの反応がおきる
  • 発育・発達と行動~成長や障がいの程度に合わせて、経験・好み・信念が行動に影響する

 ストレスに対する反応や行動は、人それぞれです。まず、目標に向け練習や勉強に励んでいる姿を想像してください。物事の解決や自分の成長につながる「挑戦」と受け止め行動しているはずです。個人のこれまでの経験や置かれた状況により、その緊張度も違ってくるでしょう。また、突如現れたクマから必死に逃げるのは危機的状況から「逃避」することであり、命を守る対処行動です。このように人間は、繰り返し多くのストレスと向き合いながら経験を重ね、今の自分にふさわしい判断と行動がとれるようになります。それが学習です。未知の世界である「挑戦」には多くのエネルギーが要りますが、それを乗り越えられれば体力の省エネを図ることができます。そして、次なる「挑戦」へと繋がります。たとえ失敗しても、経験は自己を知り次への改善策となります。

 次に、長引く過剰なストレスがうつを引き起こす可能性についてお話します。人間には本来、心身の状態を一定に保とうとする恒常性(ホメオスタシス)のしくみが備わっており、体温調整もそのひとつです。責任感が強い人ほど頑張ってしまい、心のバランスが乱れてしまうと気分の沈みや食欲不振などをきたし生活のリズムも崩れていきます。倦怠感や不眠など普段と違う身体のサインがある、好きなことが楽しめなくなったなどの状態が2週間以上続いたら、かかりつけ医に相談してください。また、周囲の人が寄り添いゆっくり時間をかけて傾聴することは、心身のゆがみを緩和するのに効果的です。こころの病気に対して抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、専門的診断と早期の治療は本来の自分らしさを取り戻す近道になります。

 次回は、「2.リフレーミングでストレスを遠ざける」についてお話します。

※本日のテーマと関連する授業は、「子どもの保健」「子どもの健康と安全」「心身医学概論Ⅰ・Ⅱ」です。

<プロフィール>

宮崎学園短期大学 准教授 専攻科(福祉専攻)主任

専門:看護学