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山下忍前学長「折々の記」2012

学長折々の記(その50)

平成25年を迎える前に「(その50)」を記しておきたく、ペンを執りました。

葉っぱをきれいさっぱり払い落して、直立不動で立ちつくす冬の樹木には、何か心惹かれるものがあります。本学玄関前の銀杏樹もまさにその姿。こちらも負けずにシャキッと生きていくからと、自ずと語りかけたくなります。

師走の各種行事も、予定通りにやり終えました。

ついたちの「保育フェスティバル」は、多くの市民に感謝されながら終了しましたと、すでに報告致しましたが、8日土曜の、初等教育科、音楽科、人間文化学科合同の「短大フェスティバル」も、各学科の特色を生かしながら無事やり遂げました。また、同日夕刻の「清武イルミネーション点灯式」も、本学学生や教職員の参加のもと、味わい深く開催されました。本学学生が、デザイン作成、設置準備に大きくかかわってくれたとして、代表挨拶は保育科学生が担当となりましたが、「この街を、私たちの手でしっかりと照らし出します」と、さわやかな挨拶をしてくれました。点灯されたイルミネーションは、昨年度にもまして美しい姿を見せています。その後の「全学一斉清掃」も、「入学前教育スクーリング」も、そして、「非常勤講師の集い」も、22日の土曜までに全て終了することができました。冬季休業を目前にした今、やるべきことはやり終えて、正月を迎えることができるなと思っています。

ただ今年の、特に大きな実践事項であった「第三者評価」や「改組転換」を改めて振り返ってみる時、強く激しく湧き出る思いは、私たちのこの宮崎学園短期大学を、もっともっと不動のものにしたい、言葉を換えれば、教職員の教育力、そして使命感も限りなく立派、学ぶ学生達の勉学への姿勢、天空をにらんでの向学心、燃える思い、それらもまた限りなく立派、そう呼べる姿を、より確固たるものにしたいという思いです。

14日、19日と本学を訪れてくれた高校生たちにも語ったのですが、本学学生は、建学の精神「礼節と勤労」を身につけた誇るに足る若者達です。教職員もまた、学生を思い、学校の今と将来を思う点で、間違いなく第一級だと、私は自讃しています。

その上で、なおも欲ばり続けたいのです。俗諺に、「上見れば限りなし、下見れば限りなし」というのがありますが、教育の世界は、学生にとっても、教職員にとっても、「上見れば限りなし」の世界です。カーンと澄みわたった冬の天空のごとく、この上なく高く広い世界を夢見ながら、カッカッと足音高く歩を進めるべき世界です。

正月という大きな節目に、この忍ヶ丘の先哲たる安井息軒先生の「一年の計は春にあり」の言を重ね合わせながら、「志学」の心にたちもどって、より高く、より深い世界を求め続けなければと、覚悟しています。

平成25年も、どうぞよろしくお願い致します。
末筆ながら、新年のご多幸を心から祈念申し上げます。

(平成24.12.22記)山下 忍

学長折々の記(その49)

師走の忙しさは、かつてほどではないのかなと、街中の状況を見ながら思います。それでも、師走には師走ならではの動きがあり、本学も普段の月よりもあれこれと為すべきことを数多く抱え、実行に移しています。

既に1日には、保育科の学生と教員が一体となって「保育フェスティバル」を開催しましたが、来る8日(土)には、初等教育科と音楽科、それに人間文化学科が一緒になっての「短大フェスティバル」を催します。また、師走ならではの行事として、19日には、全学生と全教職員が一つになっての「全学一斉清掃」を実施しますが、「礼節と勤労」を建学の精神とする本学にとっては、その精神にふさわしい行事と言ってよかろうと思っています。加えて、いよいよ正月目前といった22日(土)には、本学で教育に当たっておいでの非常勤の先生方にお集りいただいて、本学教育の今と将来について語り合い、考え合います。同時に、この日には、来年度本学に入学予定の高校生に対する「入学前教育スクーリング」を開催します。

それらの行事の一つ一つは、こうすることで、地域の方々に本学をより理解していただけるのではないかと思考したり、こうすることで、本学の教育の質をまたひとつ向上させ得るのではないかと考えての行動ですが、私達はそうした思いと行動の積み重ねによって、地域社会における本学の存在価値を着実に高めていきたいと願っています。

既に開催を終えた「保育フェスティバル」には、小さな子供たちとお父さんお母さんが、450名も参加していただきました。会場のイオンモール宮崎イオンホールで、朝の9時から夕刻の4時まで、子供さんやお父さんお母さんと、時には、おじいちゃんやおばあちゃんと、それに本学の多数の保育科生と教員と、みんな仲良く一緒になって、「親子ふれあいあそび」や「手づくりおもちゃで遊ぼう」や、「アドベンチャーワールド」や、「モンキッキージャングル」等々で楽しい一日を過ごしました。子供たちの嬉々として跳びはねる姿、それをにこやかに見つめる親御さんの姿、そうした状況を見つめていると、よくぞこの催しを行ったなと思います。そしてまた、もうすっかり保育士になりきって子供の相手をする学生達に、大きな誇りを覚えます。

こうした願いや行動や喜びを、大きく両の手に抱きながら、宮崎学園短期大学も新たな年を迎えます。

(平成24.12.6記)山下 忍

学長折々の記(その48)

今年も正月まであと僅かとなりました。

私は、1年最後の月は、「12月」と呼ぶより「師走」と呼ぶ方が好きです。正確には、好きというより、そう呼んだ方が身も心もシャキッとするのです。

「月の異称」の解釈には、同じ月でも、時に解釈の異なるものがありますが、私は「師走」の語は、間違いなく「為果つ」から来ていると思っています。正月以降、あれやこれやと取り組んできたが、とうとう1年しめくくりの月がやってきた。ここはうんと踏んばって、残っている宿題を一つでも二つでもやり終えておきたい。そうした思いが、「し果つ」の語を生み、「しはす」に転じたのであろうと思っています。そう考えると、やり残していることを、正月前にせめて三つのうちの一つぐらいは片づけたいとの思いが湧き出てきます。

教員の身としては、今胸中にある宮崎学園短期大学の将来像を、もっと細かく具体的なものにしてみたい。言葉をかえれば、明るく、展望の開けた、夢いっぱいのものにしてみたい。それを正月前にやっておきたい。そうした思い、願望があります。

個人的には、除夜の鐘が鳴り始める前に、歯ごたえのある書物を1冊か2冊は読み終えたい。読み終えるのに幾らか苦労と努力を要するが、読み終えたら、ズシッと腹の底におさまるような書物を読んでおきたい。そんな願いがあります。

自分自身をひっくるめてということになってしまうのですが、この頃、人も世の中もますます軽薄になってきているように思えてなりません。3・11という世界稀に見る大震災を体験しながら、それでも日本自体も、なかなか性根が入らないように思えるのです。だったら、限りなく読みごたえのある書物、読めば読むほどに深く沈思黙考せざるを得ない書物を必死に読む以外に手は無い。そんなことを、1年の始末をつける師走の今、思い、考えています。

(平成24.12.1記)山下 忍

学長折々の記(その47)

多くの方々にご承知いただいていることですが、本学は1965年(昭和40年)に保育科を有する宮崎女子短期大学として発足を見ました。

爾後、国文科、初等教育科、音楽科、そして英語科と順次学科を増設しながら、宮崎県を中心とする若者の教育に当たってきました。

その間、本学教育の根幹に在って、2008年(平成20年)に男女共学化に伴って大学名を宮崎学園短期大学と改称した後も、本学教育を強固に貫くものは、建学の精神「礼節と勤労」であります。

私たちは、「礼節と勤労」という、この見事な「建学の精神」のもとで、「礼節」を心得、「勤労」を尊ぶ心豊かな人材を養成すべく、努力を重ねてきました。幸いにして、本学で学ぶ若者たちは、本学の有する教育理念をよく心得、よく努力し、有難い姿で実社会に巣立ち、それぞれの分野で社会貢献を果たし続けています。

にもかかわらず、本学は、平成26年度からは、定員210名(収容定員420名)の保育科と、定員50名(収容定員100名)の現代ビジネス科(人間文化学科をこの学科名に改称予定)の2学科で歩いていくことになります。

地域の要請度等をはじめとする時代の流れとはいえ、人間性豊かな人物を生み成す上で大きな役割を果たしてきた1970年(昭和45年)設置の音楽科、また、1966年(昭和41年)設置の国文科の伝統を引き継いで、国語・国文上、これまた多大の役割を果たしてきた人間文化学科の国語・国文コースが、平成26年度をもって学生募集を停止し、在学生の卒業をもってその役割を終えるというのは、残念なことです。しかし、これらの学科やコースが、これまでに築きあげ、財産となって現存するものは、今後とも、保育科において、また、宮崎国際大学に新たに設置予定の教育学部、そしてまた、人間文化学科から改称予定の現代ビジネス科において十分に活用されていくように本学全体で心得、実践していきたいと覚悟しています。

幸いにして、26年度をもって募集停止となる初等教育科は、そっくり新設置予定の教育学部に移行して、より充実した姿で教育が行われることになります。有難いことだと思っています。

有難いといえば、定員210名の保育科は、今現在行っている平成25年度入学生の学生募集においても、正月を前にして、既に大変な数の応募となっています。宮崎県を中心とする各家庭のこうした願いを、真摯に、かつ、感謝の念をもって受け止めながら、本学は、平成25年度は現在の学科構成のままで、26年度以降は、新たな学科構成で、確たる歩みを続けて参ります。

本学の象徴たる銀杏樹の巨木は、本日もまた、初冬の光を浴びて限りなく美しく輝いています。これまで以上に、充実度濃き短期大学であるべく、全教職員で努力を重ね、巨木に負けない姿を築いていきます。

どうぞ、ご理解と、一層の協力・鞭撻を心からお願い申し上げます。

(平成24.11.21記)山下 忍

学長折々の記(その46)

今日は推薦入試の実施日でした。

本学の入試は、先ずはインタビュー入試、次いで特待生推薦入試、そして今回の推薦入試と続き、年が明けてからも一般入試の1期、2期、センター試験利用入試の1期、2期、社会人入試、長期履修学生入試と、各種の入学試験が行われていきますが、私達は、実施する一つ一つの入試が、受験するに足る中味充実の試験でありたいと願い、そうなるための努力を払っています。

ところで、今日の入試には多数の出願者があり、随分と緊張感の漂う状況となりました。受付開始の1時間前には、既に幾人もの来学者があり、8時半の受付開始には多人数の行列ができました。本学の教育方針、あるいは本学学生の卒業時の状況等を認識、理解いただいて、こうして多くの高校生が受験にやってきてくれるのは、学校としてこんなに有難く、嬉しいことはありません。

「おはようございます」としっかり挨拶をして、受付場所に急ぎ足で移動していく受験生を見つめながら、今朝は、改めて、誇るに足る教育を、もっともっと実践していきたいと念じました。ここしばらく、高等教育の質の問題が論じられたりしていますが、私達は、今現に、学ぶ者達の期待を裏切らない教育、日々教室に臨んで、満足感、充実感を覚え得る教育を実践すべく、為すべき努力を重ねています。しかし、勿論、今の状況で十分であるはずもなく、あれを補い、これを高めていきたいと思うことが多々あるというのも事実です。

受験生の真剣な、緊張した姿をこの目でしっかりと見つめ、確かめると、学校として、また教育者として、当然やり遂げなければならない課題を、努めて敏速に解決しなければならないと強く思います。

キャンパス内に太陽の光がゆきわたった時刻、本学シンボルの玄関前の銀杏樹の黄葉は、キラキラと美しい輝きを放ちます。そうした姿をも目にする時、本学は、これまで以上に輝くべく、一層の努力を払わねばと、新たに覚悟が湧いてきます。勝手ながら、どうぞ今後とも、よろしくご鞭撻下さい。

(平成24.11.14記)山下 忍

学長折々の記(その45)

幾度も読み返したくなる文面に接するというのは、誰にとっても幸せなことだと思います。

私は今、その幸せの中にあります。

「秋の忍ヶ丘祭」と称する催しが、去る10月の27日と28日に開催されたということは、この「学長折々の記」の前号で記しておきましたが、数日後の11月1日下記のような「お礼」のことばが、実行委員長の上原唯さんから届きました。

よろしかったら、「平成24年度 秋の忍ヶ丘祭ご協力のお礼」というこの文章をご一読願えたらと思います。

平成24年11月1日
教職員の皆様

宮崎学園短期大学
秋の忍ヶ丘祭実行委員長
上 原  唯

平24年度 秋の忍ヶ丘祭ご協力のお礼

霜寒の候、皆様には益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。
さて、先日は恒例の「秋の忍ヶ丘祭」を盛大に開催することが出来ました。
これも、教職員の皆様方のご協力・ご支援があってのことだと学友会執行部一同感謝しております。
今年度の学友会テーマ「革命」に基づき、新しいことに挑戦する中で教職員の皆様方には沢山のご迷惑をお掛けしてしまったと思います。そのような中でも、優しく、そして厳しく私達に助言をくださった先生方の存在に、いつも私達は支えられていました。
前に進めなくて途方に暮れたとき、自分達だけではどうすることもできなくなったとき、必ずと言っていいほど先生方が手を差し伸べてくださいました。
その沢山のお力添のおかげで私達はこの「秋の忍ヶ丘祭」という大きな壁を乗り越えられたと思います。
また、お忙しい中、秋の忍ヶ丘祭の準備から片付けまでお手伝いを頂き、心からお礼申し上げます。学友会執行部として至らぬところも多かったことと存じますが、何卒ご容赦ください。本当にありがとうございました。
これからも、学友会執行部一同この宮崎学園短期大学のために全力を尽くしていきます。
今後ともご協力・ご支援くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

教職員として学校現場で過ごしていて、共に生活する学生諸君から、こうした言をもらい受ける、これほどの喜び、有難さに勝るものはないと、今、つくづくと思っています。

同時に、学生との協力関係、信頼関係を、もっともっと強固なものにしていきたい、そうした思いが、激しく、強く湧いてきます。

(平成24.11.5記)山下 忍

学長折々の記(その44)

夢を追う若者の姿には、何とも言えない輝きがあります。

本学学友会の代表的催しである「秋の忍ヶ丘祭」は、予定通りに、10月の27日(土)と28日(日)の両日に開催されました。予報からみて、ある時間帯は雨にやられるかもしれないと心配していましたが、学生達のやる気に気押されたのか、2日間ともにいい開催日和でした。

本年度の「第47回秋の忍ヶ丘祭」のテーマは、「fall revolution 〜集え!黄金の樹の下へ〜」。学友会は、いいテーマを設定したなと思っています。

私は、開催パンフの学長挨拶に、「思いの湧き立つ見事なテーマだ。」「夢一杯、若さいっぱい、はちきれんばかりのエネルギー満載、そんな秋忍にしてほしい。」と記しましたが、学友会の役員一同は、「今年度の学友会テーマは『革命』。それに基づき、今回私たち学友会執行部は、『地域』に着目しました。『fall revolution 〜集え!黄金の樹の下へ〜』のテーマには、本学の象徴であるイチョウの樹の下で、学生、教職員の皆さんはもちろん、地域の方々も共に交流が深められるように、という私たちの願いが込められています。」と述べています。これもまた、見事です。

若者が、ひとつの夢と希望のもとに、自分たちの手で一つの世界を創造し、発信する。

楽しさいっぱい、にぎやかさ一杯の秋忍でしたが、そうした中に、何かしっとりとしたロマンがあったなと、私は、改めて今回の忍ヶ丘祭を思い起こしています。

ところで、今朝は、29日に行われた「野田首相の所信表明演説(全文)」をくり返し読んでみました。首相は、その冒頭近くで、「今日よりあしたは必ず良くなる。私は、この国に生を受け、目の前の『今』を懸命に生き抜こうとしている全ての日本人に、そう信じてもらえる社会を作りたい」と述べています。そして、「明日への責任を果たす。」と明確に所信を表明しています。

精読しながら、私は、若者たちのために是非ともそうありたいと思いました。

若者と一緒に一日一日を過ごしていると、若者たちの夢を追っかける姿に、しばしばというより、いつもいつも大きな感動を覚えます。そして、この「夢を追っかける姿」をつぶしてはならないと思うのです。

(平成24.10.30記)山下 忍

学長折々の記(その43)

日野原重明先生は、本学にとっても「明の明星」だ!私は勝手にそう思っています。

学校法人宮崎学園は、平成21年度に創立70周年を迎えましたが、これを祝賀して各所属機関は、その年度のうちにあれこれの記念行事を行いました。本学宮崎学園短期大学は、よくよく思考した上で、最もすばらしい方を清武の地にお迎えして記念講演を開催するということにしました。

その講師としてご来学いただいたのが文化勲章受章者の日野原重明先生でした。

 

22年の2月2日に講演会は開催されましたが、その時の演題は、「夢と勇気ある行動」でした。私たちは、その講演から「元気と勇気」をいただき、先生の「ビジョンに向かって勇気をもって共に前進しよう、世界平和のために」という言葉に、大きな共感と感動を覚えました。私は、少年の心に戻って、ああ、この方は「明の明星」だと思いました。そして、その後今日に至るまで、ずっと私淑し続けています。

先般は、幸いにも、宮崎の地で開催された音楽療法の学術大会の場で先生のお話をお聞きし、改めて大きな感動を覚えましたが、幸せは、意外と重なって到来してくれるのかもしれません。先日15日には、再びお目にかかることができました。

朝の7時のNHKの「おはよう日本」をながめていると、先生が柔和な姿で画面に出ておいでになりました。私以外にも多くの方がご覧になったことと思いますが、10月4日で101歳におなりになった先生へのお祝いのインタビューでした。

鈴木アナウンサーのあたたかい思いのこもった質問に対して、先生は丁寧に対応されましたが、私は、そのやりとりの過程で幾つもの教えを受けました。

「先生は、101歳を迎えて、何か特別な思いが湧き出ておいでですか。」の質問に、「新しい世紀を迎えた気がします。」と、お答えになりました。私はびっくりしました。そして、次の瞬間、なるほどと思いました。100歳まで矍鑠として生き、遂に101歳に至った。なるほど、新しい世紀をお迎えになった訳だ。そして、その新しい世紀を、日野原先生はなおも、わが身をふるいたたせながら一歩一歩と踏み固め、前へ前へと進んでおいきになるのだ。

先生はアナウンサーに対して、こんなこともおっしゃいました。「私は、死に至る時は、ありがとう と周辺の人々に言おうと思う」。「どうして、その言葉を?」。「ありがとうと言えば、見つめてくれている人々は、みなさわやかな気持ちになるでしょう」。

インタビューの状況を見つめながら、私も死を迎える時は、「ありがとう」と言いたいと、素直に思いました。日野原重明先生は、間違いなく「明の明星」であり、「宵の明星」でもあるのです。

今一つ感動しました。鈴木アナウンサーの差し出した色紙に、先生は「夢」という一文字を記されました。その文字の何とのびやかで美しかったことか。先生は、しばしば子どもや大人たちに夢を持とうと呼びかけておいでになりますが、その思いが見事に凝縮された「夢」の文字でした。

私たちの学校が、これほどの立派な方を、身近かな存在になし得ていることに、私は、大きな誇りを覚えます

(平成24.10.23記)山下 忍

学長折々の記(その42)

先週は、10月の9日から12日の間に、本学としては大きな出来事が二つありました。

一つは、公的評価機関による第三者評価を、全学あげて受けるという出来事でした。大学は、4大、短大を問わず、7年に一度、高等教育を実践するに足る大学であるかどうかを、第三者によって評価してもらう義務があります。宮崎学園短期大学は、短期大学の評価が実施されるに至った第1年目の年に、全国でわずか30数校の中の一校として、評価を受けることを申請し、承諾を得ました。何をどう実践し、いかなる報告書を作成するか、そうしたことは一応示されてはいても、何様、他に先駆けてのいの一番という作業でしたから、正直言ってあれこれの苦労がありましたが、結果としては、見事合格の認証を手にしました。

その実績の上に立って、第2回目の第三者評価を先日受けたのでした。

新たな評価基準が設けられての認証評価でしたから、全体を引っぱっていくALOのご苦労を始めとして、苦難一杯の作業でしたが、第1回目の評価を第1番目に受けて合格した学校だけが第2回目を第1番目に受け得るのだということも誇りとしながら、3日間にわたる訪問調査を受けました。高等教育を行うに足る学校であるか否かの合否状況が判明するのは、今年のおしまいのところです。しかし、平生から、ともかく、学生達を裏切らない教育を実践していくのだと覚悟して、努力を重ねており、その過程を誠実に報告し、評価員の方々との面接も全力で行いましたから、悔いはありません。それに、4人の評価員の方々が、3日間の任務を終えて本学からお帰りになる折に、「学生のみなさんが、建学の精神『礼節と勤労』をしっかりと身につけておいでですね。どの学生さんからも、笑顔を湛えての挨拶を受けて幸せでした。」 との言葉をいただきました。有難いことでした。疲れはいっぺんに吹っ飛びました。

正月の「学長折々の記」では、宮崎学園短期大学は、第2回目の評価もまた合格でしたと、必ずや報告できると思っています。

今一つは、10月12日の宮崎学園創立記念日における出来事です。

私は、創立記念日の催しの意義は、建学の精神「礼節と勤労」の素晴らしさを再確認し、その実践力を一層高めることにあると心得ていますが、24年度の創立記念日は、その願いを十分に達成するものとなりました。早朝一コマ、90分をとっての記念式典の中心は、学校法人宮崎学園の理事長、大坪久泰先生の講演でした。

大坪理事長は、「宮崎学園短期大学の学生に伝えたいこと」という演題のもと、一緒になって考えようと学生に呼びかけながら、建学の精神が意味するものを、具体的に、全力で語られました。学生も教職員もしっかりとこれを聞き、「礼節と勤労」の何たるかを、よくよく理解しました。学生代表の話も一生懸命で、いい創立記念日となりました。

僅かな日数の中に、大きな出来事が二つも入ってきた前週でしたが、力を尽して事に当たり、無事にやり遂げた瞬間、大きく深呼吸をするというのも、またかけがのない喜びだなと思っています。

(平成24.10.17記)山下 忍

学長折々の記(その41)

志を高くし、描いた夢を追っかけ追っかけしながら生きていく人生でありたい。 教育の場で共に過ごす若者たちに、そう語りながら生きてきましたが、その「夢を追う生き方」の大切さを、先般は改めてしたたかに教えていただきました。

去る9月の7日から9日にかけて、日野原重明先生を理事長とする日本音楽療法学会の学術大会が、宮崎市のシーガイアコンベンションセンターで開催されました。その3日にわたる大会の中日は、学会員と宮崎県民が一体となって過ごす県民講座となっていました。このプログラムには、県民だけでも千数百人に及ぶ出会者がありましたが、参加者の一番の願いは、大会会長を務められた日野原先生の記念講演をお聞きすることであったと思います。そして、日野原先生は、その期待に見事にお応えになりました。

講演がどんなものであったかは、本学のホームページでも紹介していますし、新聞、テレビでも報道されましたから、改めて内容は記しませんが、私は、一言で言えば、夢一杯、志一杯の講演であったと思います。もう幾日も経ずして101歳におなりになる日野原先生は、ステージを軽やかに行き来しながら、時に歌を歌い、時にはダンスにも似た身のこなしをされながら、己の一生がいかなるものであるかを語り続けられました。1時間を越す講演の間、一寸体を休めてといった様子は微塵も見せないお姿でした。どうしてこんなにもお元気で、どうしてこんなにも、時におだやかで、時に跳びはねる姿で思いが湧き出てくるのか、沢山の学会員や県民の方々と一緒にお姿を目にし、お話を耳にする中で、結局、強く湧き起こるものは、先生のごとく、夢を失うことなく生きていきたいという願いでした。

日野原先生の見事な生き方を貫く根幹のものは何か。それは、己を支える一切のものへの感謝の念であり、様々なものに果敢にアタックする好奇心と探求心であり、願いを現実のものとする実践力であろうと思います。そして、それら全てが、美しい夢のヴェールで覆われている。

日野原先生だって、その長い人生においては、厳しく、きついことが無かったはずがない。幾度もの闘病生活も大変だったろうし、医療の分野、音楽療法等の世界を、己がよしとし、納得のいくものに成就させていく上でも、大きなご苦労が無かったはずがない。しかし、先生は、言っても詮方なきものは潔よく放り捨て、ひたすらに夢多く生きておいでになった。そして、その生き方こそが、知の巨人、徳の巨人と呼んでよいでっかい人物を誕生させ、今も元気溌剌としてお過ごしになっている。大きい人物、正真正銘見事な人、そうした方に接し得るというのは、人生最高の幸せです。

3日間にわたる学会において、本学教職員や学生・卒業生が果たした役割には大きなものがありました。その働きには、日野原先生をはじめとする大会関係者からも、大変な感謝と評価をいただきました。そうしたことも誇りとしながら、私たちは私たちなりに「夢追い人」として、志高く生きていきたいと思っています。

(平成24.9.26記)山下 忍

学長折々の記(その40)

つい先ほどまで学内における合唱団の練習を見つめて、その後、こうして久し振りに「学長折々の記」のペンを執っています。

教師という仕事にもあれこれと喜びがありますが、やはり最高の喜びは、全力で物事に取り組んでいる若者の姿を、じかにこの目で見、確かめることができることにあると、改めて思っています。

本学合唱団は、8月4日の全国合唱コンクール県予選において金賞を受賞し、獲得した九州大会への出場権のもと、9月9日の熊本大会に向けて、目下、猛練習の最中なのです。すぐれた指導者のもと、持てる力の全てを出し尽くさんと練習に励んでいる姿には輝きがあります。そして、その輝きを目の当たりにするのは、例えようもない幸せです。

この夏季休業中も、若者たちから幾つもの感動をもらい受けることができました。

7月の下旬、幼児やそのお母さん方のために、3日間にわたって開催した「子育て支援セミナー」における学生達の姿も立派でした。子供たちの喜ぶ衣服を身につけて、これまでに習得した様々の力をフルに発揮しながら、将来は大物になるに違いない幼な子に、全力で相対している学生たちの姿は、「よおっ、見事な保育士、バンザイ!」と、自ずと叫びたくなるような活躍ぶりでした。

そして、今一つ。

本学は、もう長年にわたって教職採用試験で一次試験を突破した現役学生や卒業生に、所謂二次対策を行っているのですが、今回は8月の21日にこれを実施することができました。難関なる試験の最初のハードルを見事乗り越えた人達の勉強会ですから、真剣な学習で当然ですが、Aの指導者、Bの講師と、次々と入れかわっての指導を、ただの一つも聞きもらすまいとして、これまた全力で取り組んでいる姿は、状況を室外から見つめているこちらにも背筋をぐっと伸びさせる緊張と、心地よい安堵を与えてくれるものでした。誰であろうと、真剣に生きている人の姿は美しいものですが、特に若者の必死な生きざまは大きな感動を呼び起こしてくれます。

そうしたことごとのあった夏休みが過ぎて、本学は前期最後の月を迎えています。お陰で、学生たちもみな元気です。今後とも、大学の名に恥じない姿で、学生、教職員一体となって学園の日々を過ごして参りたいと思っています。

(平成24.9.7記)山下 忍

学長折々の記(その39)

昨日から、目前の仕事にほっと一息つけた時、本学初等教育科2年生の青木真友美さんが記した一文に目を遣っています。青木さんの文章は、宮崎日日新聞の「窓」欄に、7月1日付で掲載されたものです。

青木さんは一度大学を出て、サラリーマンとして仕事をした後、どうしても小学校教諭としての人生を送りたく、その目標達成のために改めて本学に入学した学生です。本学初等教育科の第2学年生は、教員免許取得のため、先般来、教育現場での実習を行ってきましたが、その教育実習先での体験を通して、青木さんはますます小学校の先生になりたいとの思いを濃くし、その切実なる気持ちを文章化しました。

くり返し読んでいて、激しく胸中に湧くのは、こうした学生達の願いを、何が何でも達成させたいとの思いです。一つの夢を抱いて大学に入学する、その夢の実現に向かって全力で勉学する、勉学を重ねる中で、夢はますます確固たる願いとなる。そうした学生と共に、日々キャンパス内で過ごしていくというのは、教職員にとっても最高の幸せです。

今年の宮崎県の教員採用試験は目の前です。青木真友美さんも大いに頑張れ! 頑張って是非是非小学校教諭としての歩みを始めてください。実習先で、「先生は一生懸命だから、一番いい先生になれる」と言ってくれたあなたの子供たちと気持ちを一つにして、私たちもあなたを精一杯応援しています。

(平成24.7.4記)山下 忍

学長折々の記(その38)

この季節は、宮崎学園短期大学も紫陽花の花満杯です。

今日も、台風5号の影響もあって学園は雨の中ですが、しっとりとぬれた紫陽花の姿は、うっとうしさを払いのけて、なお、お釣りたくさんの味わいです。

ところで、本学は、今年度もまた、オープンキャンパスの時期を迎えました。 第1回の開催が7月8日の日曜、第2回が8月5日の日曜ですが、その準備の一環として、昨日20日は、「オープンキャンパス係学生との打合わせ会」を行いました。

本学のオープンキャンパスは、全教職員で、高校生や先生方、また、保護者の方々をお迎えする姿をとっていますが、多くのボランティア学生が、受付け、案内その他を担ってくれます。そうした学生たちの様子が、本学オープンキャンパスの一番の特徴と言っていいかもしれません。昨日の授業終了後の打合わせにも、数多くの学生が、にこにこと、まさに満面笑みを浮かべて集まってくれました。

今、改めて、これまでのオープンキャンパス後のアンケート結果を見つめてみますと、やはり学生たちへの感謝とお礼の言葉が一杯です。

  • 学生のみなさんがとても明るく笑顔がよかった。
  • 校舎もきれいで、在学生の方や先生方がとても優しくてよかった。
  • 皆さん笑顔で、困っていたら在学生の方が話しかけてくださって、無事解決しました。

そうした言葉と共に、

  • 周りに自然があって、とても気持ちよかった。森の中の学校みたい。
  • 充実したキャンパスライフを送りたいと思った。
  • この学校で、自分がどう変われるか楽しみです。

こうした記載もありました。

本年度もまた、学生と教職員一体となって、明るく、そして、意義深いオープンキャンパスを開催します。昼食は宮崎学園短期大学でという予定で、軽やかにおいでいただけると幸いです。

(平成24.6.21記)山下 忍

学長折々の記(その37)

今回は、宮崎学園短期大学主催で行っている「子育て支援セミナー」と「保育研修会」について、案内をさせていただきたいと思います。

本学は、地域と連携し、地域への貢献をしっかりと果たしていくという大学の責務面でも、一つの覚悟をし、実践を重ねていますが、本年度も開催する「子育て支援セミナー」並びに「保育研修会」についても、強い思いを抱いています。

私たちの学校は、1965年(昭和40年)に定員80名の保育科と共に誕生しましたから、目下、210名の定員で活発な教育活動を展開している保育科は、今日までにおよそ半世紀の歴史を刻んだことになります。今や宮崎県下の保育所、保育園で保育活動を行っておいでの保育士の6割は本学出身者という状況ですが、そうした数的な実績のみでなく、本学保育科には、長い歴史の中で蓄えてきた、まさに「保育財産」と呼ぶべきものがあります。

また、保育科より5年遅れで誕生した音楽科も、県内外の音楽界、情操教育界において大きな役割を果たしてきました。音楽科が所有している知的財産もまた、多大です。

本学は、そうした、一つまた一つと積み上げてきた多種の財産を存分に活用しながら、「子育て」の面でも、果たすべき務めを、しっかりと果たしていきたいと願っています。

本年度の「支援セミナー」では、保育科と音楽科が連携し、役割分担しながら、7月23日(月)には「わくわくコンサート」を、24日(火)には、「親子ふれあい音楽あそび」を、そして、25日(水)には、「子どもと一緒に親も育つ」をテーマに、「おやつアドバイス」等々の催しを行っていきます。参加費不要で頑張っていますので、お子さん、保護者の方々、そして、保育に関心のある方々に、ふるって参加していただけたらと思います。

また、「保育研修会」は、幼稚園教諭、並びに、保育士の方々対象に、7月15日の日曜と11月25日の日曜に開催します。本学教員も全力で講師を務めますが、学外からも優れた講師を迎えて研修会を行います。「子育て支援セミナー」同様、多くの方々にご参加願えると幸いです。

(平成24.6.13記)山下 忍

学長折々の記(その36)

今日は、平生より幾らか早目に出勤し、学生が活動を開始する前に、「公益財団法人世界平和研究所」が、この4月9日に世に出した「大学改革試案」を精読しました。

この試案において「世界平和研究所」は、今日の高等教育は憂うべき凋落ぶりを呈していると慨嘆し、「自らの利害に関係なく他者や社会のために尽くす」エリートの育成が急務であると説き、最後に、緊急に実施すべき大学改革の幾つかを提示しています。その試案内容に賛否はあろうかと思いますが、一つの研究所が、大学の在るべき姿について真剣に考えているということは、よくよく汲み取れるものでした。早朝一読するに足るものであったと思っています。

ところで、本学では、5日前の6月2日に、第2学年生の保護者会を開催しました。この頃、全国の大学でもこの種の会合が盛んですが、本学でも保護者の方々との連携の大事さを痛感して、数年前から1年と2年に分けて開催しています。

開催のたびに深く感謝するのは、参加していただいた方々の真剣なる姿です。大学としては、改めて建学の精神を語り、学生の日々の生活上、あるいは、就職上の諸問題を報告し、協力をお願いするのですが、その後の個別面談を含めて、保護者の方々の真剣な対応に強く胸を打たれます。帰宅される折に、今後の保護者会への要望や感想を記していただき、それをご提出いただくのですが、そのアンケートに記されたものを見つめていると、そこから、親の子を思う姿が、温かく、また激しく浮かび出てきます。

当たり前と言えば、限りなく当たり前のことですが、親の子を思う気持ちは、小学校も、中学校も、そして、高校も大学も無いのです。その親の思い、保護者の思いを、しっかりとわが身に受け止めながら教育を行っていく、それが、高等教育を高等教育足らしめる道の一つだと、思ったりもしています。

本日早朝の思いです。

(平成24.6.7記)山下 忍

学長折々の記(その35)

今回の「学長折々の記」では、本学学生の記した一文を読んでいただけたらと思います。

4月10日記の「折々の記」において、私は、学生全員で組織される学友会の、この1年の歩みのテーマは「革命」ですと紹介し、本学の学生たちは、今、心を一つにして私達の宮崎学園短期大学に、革命的新風を吹き込もうとしていると記しました。

その新風が、まずは春の第一陣として、見事に吹き抜けてくれました。

新入生歓迎を第1目標としながら、全学生が一体となることを願っての「春の忍ヶ丘祭」は、天候の関係から1週間遅れの4月28日(土)に開催されましたが、それは、まさに新風が、快く頬をなでる催しでした。多くの教職員が、例えば、「楽しい春忍でした。学友会の頑張り素晴らしかったですね。お疲れ様でした。」とメールを送ったごとくに、学生達の頑張りを心から称えました。

今私たちの日本では、3・11の悲しい大震災の後、全力でボランティア活動を継続する青年達の姿によって、若者も捨てたものではないという評価が生まれ、高まっていますが、まさに若者は、捨てたものではないのです。もっとはっきり言えば、若者達は立派なのです。その立派な証拠を、後に記す一文にて示したいと思います。

一文の書き手は学友会会長ですが、この文章を精読すると、若者たちが、どんなに温かく、どんなに感謝の念を強く抱き、そしてまた、どんなにやる気を有しているかが、よく分かります。
ご一読願えると幸いです。

平成24年5月1日

教職員の皆様

H24年度 学友会執行部一同

 

平成24年度 春の忍ヶ丘祭 お礼


4月28日に実施させていただいた春の忍ヶ丘祭は、「Spring revolution〜忍ヶ丘から元気を〜」のテーマのもと、おかげさまで天候にも恵まれ、笑顔あふれる楽しい春の忍ヶ丘祭にすることができました。実施するにあたって、お忙しい中、様々なご支援、ご協力をいただき誠にありがとうございました。
当日、参加していただいた教職員の皆様には、応援合戦の審査や、最後の後片付け等にもご協力いただき、心から感謝申し上げます。
今回の春の忍ヶ丘祭を通して、全学生、そして教職員の皆様、全ての人が交流を深め、それぞれがこの宮崎学園短期大学に誇りを持ち、改めて素晴らしい大学であると思えるきっかけにすることができたのであれば幸いです。
学友会執行部も、仲間と協力することの大切さや、一つのことを必死にやり遂げる達成感など、多くのことを学ばせていただきました。準備を進めていくにあたってその都度、教職員の皆様や学生からのあたたかい言葉に、たくさんの元気をいただきました。終わった後も教職員の皆様や学生からの「またもう一度やりたい」「本当に楽しかった」という言葉にも、感謝の気持ちでいっぱいです。
常に周囲の方々への感謝の気持ちを忘れず、またこれからも宮崎学園短期大学に、「良き革命」を起こせるよう、学友会執行部全員で頑張ってまいります。
今後とも、ご支援・ご協力くださいますようよろしくお願い申し上げます。

(平成24.5.2記)山下 忍

学長折々の記(その34)

読書の秋として、「灯火親しむべき候」と言いますが、春もまた読書には最適の候かと思っています。やってもやっても切りのない仕事に、一応の区切りをつけて、帰宅前の一刻、手元の書物に心を向けるというのは、私にとっても最上の喜びの一つです。数日前からは、桑原武夫編の『一日一言-人類の知恵-』に親しんでいます。4月18日は、この日が人麿忌ということで、柿本人麿の万葉歌4首が記されていました。

「ささの葉はみ山もさやにさやげどもわれは妹おもふ別れ来ぬれば」

4首の中のこの一首からは、妹思う人のあたたかさが伝わってきて、ひとときほっと深呼吸をすることができました。翌々日の20日に桑原氏が取りあげていたのは、無差別の博愛と節約を主張してやまなかった墨子です。

「一人を殺せば、不義の行為として、かならず死罪にされる。」「しかし、大きく不義を犯してひとの国を攻めると、非難しないで、名誉とし、正義とする。」「天下の君子は、義と不義の乱れを見わけなければならないものである。」

B、C、480-390の人間が、非攻篇において、しっかりとこのように述べていることに、改めて大きな驚きを覚えます。岩波新書では、一頁に二人の人物をとりあげていますから、一日一日に記されている分量はわずかです。しかし、そのわずかな中で、深呼吸をしたり、人間は果たして進歩を遂げているのかと考えてみたり、読書の世界はなるほど深淵の世界です。

そうした中で、書物から目を離すと、どうしても教員としての思いが首をもたげます。

すっかり読書離れの進んだ若者達を、どのようにして、わが喜びと同じ喜びの世界に引き戻せばよいものか。

一旦読書の喜びを知れば、読むなと言っても読まずにはおれない、それが読書の世界だからと自分に言い聞かせても、青春期こそ灯火親しむ最善の候と強く思っていますから、どうしても思いはあせりになってしまいます。

今、私が座右に置いているのは、福田和也の『人間の器量』、新渡戸稲造の『武士道』、藤原正彦の『日本人の誇り』、五木寛之の『不安の力』、そして、藤原武夫編の『一日一言』。『一日一言』は、しばらくわが手元に置いておかねばなりませんが、他の書物は、「その一冊は、数日私に」と学生の誰かが言ってくれると、嬉々としてお借しするのですが。

(平成24.4.20記)山下 忍

学長折々の記(その33)

宮崎学園短期大学の新年度は、本日10日でエンジン全開といったところです。 4月4日に第2学年の前期オリエンテーションを行い、7日に入学式、9日10日の両日かけて1年生のオリエンテーションを開催し、これで新年度の歩みに必要な準備を全て終えました。全4学科生、それに、福祉、音楽療法の2専攻生、皆うち揃っての新たな出発となると、例年のことながら、体全体がゾクッとし、背筋がシャキッとなります。

それに、この平成24年度は、学友会が1年の歩みのテーマを、高らかに「革命」としました。全学生心を一つにして、宮崎学園短期大学を改革し、飛躍的に充実度を高めようというのです。学友会役員一同は、4日に全2年生にこのテーマの意義を説明し、具体的に何をどう推し進めていくのかを真剣に語りました。9日には、同様のことを、熱く1年生に語りました。

思いを伝えるために壇上に上っていく段階から、役員一同の行動は見事なものでした。しっかりと礼をし、何をどう伝えればよいか事前の準備を徹底し、簡潔に、かつ、鋭く、思いを伝えました。

「お互いにやるべきことをしっかりとやろう。講義は全力で受け、私語する者がおれば、自分たちの手でそれを止めさせよう。学友会行事も、一部の者が行うのではなく、全員がスクラムを組んで感動的に開催しよう。」

全学生と共に、訴えを聞くことのできた私達教職員も、よし、学生達と共に革命を必ず推進すると、自ずと強い思いが湧き出てきました。負ぶった子に教えられるとは、このことかも知れません。

何はともあれ、新たな年度の、いい出発ができました。この「折々の記」の執筆前に、明教庵周辺、そして、専攻科棟一帯と、学内を一巡してきましたが、豊かな樹木群は、その全てがこの上なく生き生きとしていました。吉野桜も、桃も、れんぎょうも、まだまだ美しい花を身にまとい、大楠や、欅や、そして、玄関前の銀杏樹も、あたたかな陽射しのもと、若葉をキラキラと輝やかせていました。

自然も生き生き、人もまた生き生きとは、何とも嬉しいものです。24年度も宮崎学園短期大学は、厳しさとあたたかさを織りまぜながら、学生と教職員一体となって、より強く教育の充実に向けて、歩みを進めていきたいと思っています。

(平成24.4.10記)山下 忍

学長折々の記(その32)

2月8日に開講式を行った本学の公開講座「ニューライフ・アカデミー」も、本日で第3回を終えることができました。

第1回は、市﨑一章准教授による「英単語よもやま話-語源・形態・音特徴-」でしたが、受講者のアンケートには、「英語の語源から発音の仕方まで、楽しく学ぶことができました。以前途中で投げ出してしまった英語をまた始めてみようという気持ちになりました。ありがとうございました。」とか、「楽しい授業でした。古びた細胞が少し目を覚ましたようでした。」といった言葉があり、今年度も、いい姿で公開講座を開始できたなと、改めて嬉しく思っています。

第2回は、桑畑洋一郎講師の「ハンセン病の歴史社会学-社会における病の意味-」でしたが、この講座についても、「こんな若い人が研究者とはびっくりです。保育科の若い方々がこのような勉強をなさり、今後の仕事、また出産、育児、生き方につながっていくと思うと、とても感動します。」という言葉をいただきました。有難いことです。こうした暖かい言葉を背にしながら、本学の若手の先生達は、教育、研究、社会貢献の各分野において一層の頑張りを見せていくのだと思います。

今日の第3回は、本学で、「医学概論」、「生命科学」、「発育と老化」等の科目を担当する日髙英幸教授の講話でした。開始に先立って、声楽を専門とする末平音楽科長のリードのもと、サトウハチロー作詞の「うれしいひなまつり」を皆して合唱し、また、1、2回時と同じく「早春賦」を歌いましたが、さわやかな雰囲気の中での「人生の思い出をつむぎつづける〜子どもの脳、大人の脳〜」と名づけられた講話からは、受講者の方々全てが、数多くの勉学をなさったこと、間違いなしと思っています。

来学いただいた方々と一緒に、公開講座の場で過ごしていますと、いい勉強になります。講話そのものから教わることも一杯ですが、何よりも、受講者の方々の熱意に感動します。「この機会に、しっかり学ばずにおくものか」という気概を感じますし、単に「学ぶ」のではなく、「よく学ぶ」とはこのことなんだと、つくづく思いしらされます。

もう長年この講座を公開してきましたが、絶やすことは許されない、そう思ったりもしています。

(平成24.2.22記)山下 忍

学長折々の記(その31)

「2月逃げ月」とはよく言ったものだと、2月も初旬が過ぎていく今、つくづくと感じています。年度末は、どの職場もあれこれの整理業務で大変だと思いますが、宮崎学園短期大学も、学生、教職員共々忙しく忙しく一日一日を過ごしています。

学生は後期末の試験、加えて学外に出かけての実習等々、全力投球の連続です。2月の8日は、保育科の1年生は、この日の試験を終えた後、交流センターの大食堂に全員集合しました。2月13日から2週間にわたって保育実習が始まりますが、それに備えての心得等の再確認が主な目的でした。学長も激励のことばを述べる機会を与えてもらいましたが、上学年代表による体験に基づく下学年生への話、実習に入っていく者たちの代表による誓いのことば、それら一つ一つに耳を傾けていますと、2学年生からの1年生への思い、1学年生の、実習に関わる全ての方々への感謝と実践への覚悟等々が切々と伝わってきて、あたたかく熱い思いが湧いてきます。

また、今日の1限目は、音楽療法専攻科生による「修了研究発表会」の場に身を置いてきましたが、これも感動的な一刻でした。「健常児Aグループの音楽活動〜2から4歳児の母子関係や子ども同士の関わりについて〜」、「肢体不自由のAちゃんの音楽活動の変化について」その他、どの発表にも厳しい学習の中から生まれた暖かさがありました。福祉専攻科生も頑張り、こうして音楽療法専攻科生も頑張っている、そうした姿を、この目でしっかりと見つめることができるというのは、やはり大きな幸せです。

教職員も負けずに頑張っています。この1年を振り返っての自己評価、年1回発行の『教育研究』の原稿提出、学生から受けた「授業評価」の分析と自省、その他諸々のことに気を抜くことなく取り組んでいます。

今回は、年度末における一状況を記してみましたが、宮崎学園短期大学も、無為に日々を過ごすことだけはしたくないと思っています。今後とも、元気にしっかりやれと、声援を送っていただけると幸いです。

(平成24.2.10記)山下 忍

学長折々の記(その30)

あけましておめでとうございます。

歌人俵万智の新春のことばは、
「未来とはすなわち命、いつの日も、母は子どもを守る生き物」というものでした。

なるほどと、深く頷きながら、胸中では「母」が「大人」へと入れ代わり、「大人は子どもを守る生き物」ということばが、テロップのように流れていました。

昨年のおしまいのところで、私たち宮崎学園短期大学の教職員は、今現に行っている教育実践を振り返り、この姿のままでいいのか、改善するならどこをどう改めていくべきなのか、そうしたことについて全学的な研修を行いました。

学外の方を講師として招き、その方の講話を聞きながら、あるべき姿を考え求めていったのですが、その研修の過程で、強く胸に迫った言葉があります。
それは、講師の方の、「やっていることがまともかどうか」、「やっていることが本当に意義のあるものかどうか」は、大学ならば、「学生がそのことを十分に理解しているかどうか」、あるいは、「学生がその意義を十分認めているかどうか」で判断すればよい。そして、そのことこそが何よりも大事なのだという発言でした。

 

何かを教える、その時大切なのは、教えられる者がその内容をよく理解できているかどうかということだとの発言ですから、当たり前といえばこの上なく当たり前の話で、わざわざ講師からお聞きするまでもありません。しかし、私たちは、教える内容を必死で考え、それをどう伝えるかを、これまた必死で考えているうちに、教える己の側ばかりに目がいき、教えられる側が今それをどうとらえ、理解しているかという肝心の視点から目が離れてしまう、そういうことがままあるというのも事実です。

師走の下旬の研修会では、そうしたことを自省したり思考したりしました。

「未来とはすなわち命、いつの日も、大人は子どもを守る生き物」

年の改まった今、俵万智のことばを借りながら、今はしきりに、新たな年の己の姿を考えています。

(平成24.1.13記)山下 忍

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